2013年12月16日

SAS CRWの貴重な流出写真の中でもさらに珍しい資料を紹介します。

世界中全ての軍特殊部隊の始祖にして,常に模範であり続けている英国特殊部隊SASだが、その中でも第22連隊所属、通称CRW(Counter-Revolutionary Wing=対革命ウイング)は、1980年のイラン大使館事件での衝撃的なメディア露出と同時に『対テロ』という新しい時代の概念そのものを世界にもたらした。
CQB、キルハウス、フラッシュバング、ルームクリーニング、ドアブリーチング、ダブルタップ等、我々が現在知る(あるいは未だ知り得ない)対テロ装備や技術のほとんどが彼らによる発明であることは言うまでもない。
米国陸軍特殊部隊グリーンベレー内ではデルタフォースが、海軍特殊部隊シールズ内ではDEVGRUがそれぞれこのCRWを模倣する形で編成されている。日本の陸上自衛隊における特殊部隊、第一空挺師団(通称 空挺レンジャー)内部には近年、特殊作戦群と呼ばれるやはりこのCRWに準ずる部隊が、デルタフォースをさらに模倣する形で編成された。

もともと否認性(デナイアビリティー)隠密性(シークレシー)を必要とする特殊部隊の中にあって、対テロ専門部隊である彼らの情報は最も厳重に守られており、その全貌を知ることは容易ではない。パイオニアとして創設より40年近くもたつCRWだが、その高名な知名度を裏腹に、未だにその姿をとらえた写真等情報の流出は最低限にとどめられている。
イラン大使館突入時に捕らえられた写真のセットと、スターリングマシンピストルを装備して極狭所突入訓練中の80年代後期と見られる写真数枚は有名だが、その他の流出写真を発掘するにはかなり苦労することになる。
ここで紹介するのは、どれも非常に希少な写真である。


80年代初頭、イラン大使館事件当時と同じ装備、戦車兵用の黒カバーオールの中にグリーン色のフード付きNBCスーツの上着を着込むが、この写真の隊員はフードのみ切り取って上から被っているのがわかる。背後に映るのはもちろんレンジローバー。
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80年代中頃、この右側の女性、じつは若きダイアナ妃である、言うまでもなく皇族は人質となる可能性が高く、非公開でCRWの救出訓練に参加してそのような事態の対処を学ぶ。
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上写真の続き、チャールズ皇太子とダイアナ妃がCRW隊員と映っている。
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イラン大使館時も含め80年代中頃までのガスマスクは、S6レスピレーターであった。ちなみに、上記2点の写真同様、写真のノーメックス製フード付き紺色アサルトスーツはイラン大使館の後に採用されたもので、事件時は1点目の写真のように戦車兵用黒色のカバーオールの中に、フードつきNBCスーツの上着を着込んでいた。肌を一切露出させないスタイルがトレードマークともいえるCRW隊員の風貌だが、彼らの対テロ突入専用フラッシュバングにはCSガスが最初から混入してあることから、その理由を察することができる。全員Mk.2型スエードベストを装備している。
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写真は黒白だが、一般歩兵用S10ガスマスクと、ハンドガード下部にマウントされるタイプのマグライトにより80年代中期から後期ころとみられる写真。形成爆薬で壁にあけた突入孔の前で撮影している。状況によっては部屋にドアがあってもむしろ陽動に使い、ドアに銃口を向け身構えるであろうテロリストの裏を書いて、実際の突入隊員は反対方向の壁を爆破して突入してくる。
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上写真の続き、シャッターや大型ドアを破壊して突入するヘビー級なノッカーが見える。
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一般歩兵用S10ガスマスクとブローニングハイパワー拳銃、そして北アイルランドグローブと呼ばれる、窓ガラスを安全に殴り壊す為の手袋から、80年代中期から後期ごろとみられる写真。
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上写真の続き。右側の隊員は一般歩兵用S10ガスマスクにアンタイフラッシュレンズ(いわばサングラス)を装着している。なぜかというと、世界最高練度を誇るSAS CRWの隊員達は、フラッシュバングが着地し爆発する瞬間には、もうすでに部屋の中に突入しているのだ。 足下には、訓練用に着色されたCSガスの茶色い霧が見える。
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重装用のブリストル社製アーマーから80年代後期と見られる写真。グリーンの手袋は、英空軍パイロット用レザーグローブ。
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80年代後期から90年代初期, 全員がイラン大使館事件以来より採用されているMk2型スエードベストを着用している。ノーメックスアサルトスーツのスタイルは、このころCQB用スーツとしての最高傑作といえるまでの域に達した。レスピレーターとの密封性を高めたフードと喉フラップに加え、デフォルトでエルボー/ニーパッドと、フル装備状態でも使える腿前部ポケットがつき、チームカラーのタグを納める両肩ウインドー横には、部屋や廊下がクリア済みであることを他のチームに伝える目印にしたり、解放したホステージを、味方による誤射防止のためマーキングしたりと、いろいろ使うサイリュームを納めるスロットもついている。
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90年代初期から中期、ドアブリーチング用ハットン式ショットシェルを納めるホルダーや背面の大きなコンパートメントなど、より充実したMOE(Method Of Entry)ツールを装備できるMk3型のスエードベストを装備している。これまでのMk2型スエードベストと併用して使われた。
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黒と紺色のアサルトスーツの混在から、90年代中期とみられる写真群。SAS CRW専用の改修がほどこされたSF10ガスマスクは、S10にくらべ、左右どちらにでもキャニスターを装着でき、視野を広くするためフラットなレンズがついている。また、対テロ任務では水を飲む必要性が低いため、ドリンキングチューブは廃止されており、かわりに無線機のマイクを内蔵することができる。80年代後期ごろより胸に装着するCT401PTTユニットと共に配備されている。ベルトキットは、イラン大使館事件時代当初から今日にいたるまで、レン・ディクソン社、ポール・エバース社、プライス・ウェスタン・レザー社と製作者は変わっても一貫して革製のものが使用されている。CRWでは、CSやRSガスの充満した家屋内でフラッシュバングを多用するため、ノーメックスアサルトスーツやスエードベストの例のように、とにかく火災への防護を徹底する。コットンやナイロン製品など引火したり熱で溶けやすい装備を嫌う傾向にあったが、90年代中期以降より、難燃性で強い特殊ナイロン素材(コーデュラなど)の登場と、ベストとアーマーの最初から複合されたものの登場により、重いスエードベストは段階的に廃止されていった。現在はISPL社のモジュラーベストを使用していると言われている。
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Posted by THE DOOR-KICKERZ  at 23:46 │Comments(1)UK SAS CRW CT Assaulter loadout : 英軍 SAS CRW CT装備

この記事へのコメント
見た事が無い写真ばかりです
もしよろしければどちらの文献に載っている写真か教えていただけませんか?
Posted by pandy at 2015年05月24日 13:34
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